板谷家は、江戸幕府の御用絵師住吉広守(1705~77)の弟子慶舟広当(1729~97)が、住吉家を継いだ後、板谷家に復したことに始まる幕府御用絵師の家系で、江戸におけるやまと絵画風の継承流派である住吉派の支流として、代々幕府の御用を勤めました。
平成22年3月、板谷家に伝来した下絵や模写、抜き写しなどを含んだ粉本、古文書、印章など10629件の資料が板谷家第8代当主板谷広起氏の遺志により夫人静子氏から「板谷家伝来資料」として東京国立博物館に一括寄贈されました。同家の古文書の一部は、大村西崖編『東洋美術大観 五』(明治42年 審美書院発行)で翻刻されているものの、模写等の粉本類は未紹介であり、御用絵師の活動ならびに作画学習の様子を知ることのできる原資料として貴重なものです。さらに、「板谷家伝来資料」には、江戸時代の御用絵師としての活動を示す資料以外に、明治維新後の新政府役人としての活動を記録した文書なども含まれており、江戸幕府の御用絵師が江戸幕府制度の解体後に歩んだ姿もしのぶことが出来ます。
なお、本データベースは平成23~27年度科学研究費補助金(基盤研究A)「板谷家を中心とした江戸幕府御用絵師に関する総合的研究」(課題番号 23242013)の研究成果です。