ミュージアム資料情報構造化モデルの RDF 表現 (案)

2006年7月19日

東京国立博物館 博物館情報処理に関する調査研究プロジェクトチーム

概要

ミュージアム資料情報構造化モデル[SMMOI]によって記述された資料情報を RDF によって表現する方法を示す。ここで用いられる語彙の一覧と定義については ミュージアム資料情報 RDF ボキャブラリ[SMMOI-RDF]を参照のこと。

この文書は博物館情報処理に関する調査研究プロジェクトチームによる最初の草案であり、 改善のための意見・コメントを歓迎する。

はじめに

ミュージアム資料情報構造化モデルは、美術館・博物館における主として人文系の資料を記述するためのモデルである。 このモデルにもとづいて作成されたデータを共有・交換するため、ミュージアム資料情報 RDF ボキャブラリを提案した。 この文書では、提案されたボキャブラリを用いて資料情報を表現するための具体的な方法を、モデルにおける属性ごとに例示する。

Resource Description Framework (RDF)World Wide Web Consortium (W3C) によって勧告された情報の相互運用のための枠組みである。 RDF の概要については [RDF-C] および [RDF-PRIMER]を、 RDF の XML 表現については [RDF/XML] を参照のこと。

図と例について

この文書ではミュージアム資料情報構造化モデルの RDF 表現を図によって説明する。 文書中で用いる図は以下のような形式である。

example

楕円はリソースを表し、矩形はリテラルを表す。また矢印はプロパティである。 リソースのうち「ミュージアム資料情報 RDF ボキャブラリ」で定義されているクラスはクラス名を記す。 また識別子をもつリソースは多くの場合そのリソースの URI が示される。 矢印に付された文字はプロパティ名であり、特に「ミュージアム資料情報 RDF ボキャブラリ」で 定義されているプロパティは赤で表示される。

文中で用いる名前空間接頭辞は以下の通り。(mo: は現時点での仮のものであり、変更される可能性がある)

rdfs: http://www.w3.org/2000/01/rdf-schema#
rdf:  http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#
mo:   http://webarchives.tnm.jp/vocab/moirdf-20060719#

また RDF/XML Syntax Specification [RDF/XML] に従って XML による表現が例示されるものもある。 その場合、上記名前空間の宣言やルート要素 rdf:RDF は省略している。

基本的な構造

識別子と URI

資料は mo:MuseumObject クラスのインスタンスとして表現される (資料について書かれた Web ページなどではなく、資料そのものであることに注意)。 RDF では対象となるリソースを URI によってグローバルに識別する。 資料の URI について、文中の例では tag スキーム [RFC4151] を利用する。 tag スキームの基本的な形式は「tag:authorityName,date:localName」であり、 authorityName には DNS 名またはメールアドレス、date には日付が入り、localName にはローカル名が入る。 たとえば example.jp という DNS 名をもっている組織が 2006 年に資料の識別子として 'object/3452' を与えた場合、この資料の URI は以下のほうになる。

tag:example.jp,2006:object/3452

資料の URI は組織ごとに付与することができるが、資料は実体のある物体であるため、 一般に情報リソースに用いられている http スキームなどよりも、 tag スキームを用いるほうが混乱を避ける上で望ましいと考えられる。 なおモデルでは識別子をもつのは一部の属性・型のみであるが、その他のリソースに URI を付与してもよい。

URI によって識別される対象はモデル上の「記述単位」にあたる。 したがって階層的に管理された資料については、そのまとまりごとに (記述単位ごとに) 識別子が付与されるため、URI も同様に記述単位ごととなる。

属性、詳細要素、型とクラス、プロパティ

資料の属性の多くは簡易記述と詳細記述が可能である。 この仕組みによって、ミュージアムごとに適切な詳細度でのデータ作成が可能になっている。

属性の詳細記述では詳細要素を用いる。 このため RDF ボキャブラリにおいては詳細記述が可能な属性をクラスとして定義し、 属性を表すクラスを定義域とするプロパティを詳細要素に対応させている。 資料番号を表す mo:ObjectNumber クラスと mo:hasObjectNumber プロパティによる例を示す。

example2

資料を表す mo:MuseumObject クラスのインスタンス (tag:example.jp,2006:object/12 で表されるリソース) のプロパティ mo:hasObjectNumbermo:ObjectNumber クラスのインスタンスである空白ノードを値としている。 この空白ノードのプロパティ mo:hasType が資料番号タイプ、mo:hasDate が日付、 rdf:value が資料番号としてそれぞれ詳細要素を表している。 多くの場合、属性を表すクラスのインスタンスはこの例のように空白ノードとなるだろう。次にこのグラフの XML 表現を示す。

<mo:MuseumObject rdf:about="tag:example.jp,2006:object/12">
  <mo:hasObjectNumber>
    <mo:ObjectNumber>
      <rdf:value>A-1234</rdf:value>
      <mo:hasType>収蔵品番号</hasType>
      <mo:hasDate>1995-04-20</hasDate>
    </mo:ObjectNumber>
  </mo:hasObjectNumber>
</mo:MuseumObject>

資料番号は、簡易記述によってデータが作成されていた場合は、mo:ObjectNumber のプロパティのうち rdf:value のみを用いて mo:hasTypemo:hasDate は省略する。以下に XML 表現を示す。

<mo:MuseumObject rdf:about="tag:example.jp,2006:object/12">
  <mo:hasObjectNumber>
    <mo:ObjectNumber>
      <rdf:value>A-1234</rdf:value>
    </mo:ObjectNumber>
  </mo:hasObjectNumber>
</mo:MuseumObject>

簡易記述はこの例のように詳細要素の一部のみを用いることで表現するものが多いが、そうでないものもある。 また簡易記述を用いる場合にどのプロパティを使うかは属性ごとに明示する。

詳細記述がなく簡易記述のみであるような属性の場合は、その属性を表すクラスはなく、プロパティのみが定義されている。

型は識別子・数値を除いて、それぞれクラスとして表現されている。

属性の RDF 表現

資料番号

クラス mo:ObjectNumber とプロパティ mo:hasObjectNumber および mo:hasPreferredObjectNumber で表現する。

object_number

主たる資料番号を mo:hasPreferredObjectNumber で示し、 資料番号が複数ある場合は mo:hasObjectNumber によってその他の番号を示す。

簡易記述は mo:ObjectNumber に対する rdf:value を使う。

詳細要素とプロパティ
rdf:value - 資料番号
mo:hasType - 資料番号タイプ
mo:hasDate - 日付

名称

クラス mo:Title とプロパティ mo:hasTitle および mo:hasPreferredTitle で表現する。

title

主たる名称を mo:hasPreferredTitle で示し、名称が複数ある場合は mo:hasTitle でその他の名称を示す。 図の例のように mo:Document に URI が与えられていればその URI によって文書を示すことができるが、これは空白ノードでもよい。

簡易記述は mo:Title に対する rdf:value を使う。

詳細要素とプロパティ
rdf:value - 名称
mo:hasType - 名称タイプ
mo:isDocumentedIn - 名称典拠

分類

クラス mo:Classification とプロパティ mo:hasClassification で表現する。

classification

簡易記述は mo:Classification に対する rdfs:label を使う。

詳細要素とプロパティ
rdfs:label - 分類
mo:hasType - 分類タイプ

用途、様式、品質形状、材質、技法、形状

これらの属性には詳細記述がないため、それぞれ対応するプロパティで表現する。図は様式の例である。

style

員数

クラス mo:Quantity とプロパティ mo:hasQuantity で表現する。

quantity

簡易記述は mo:Quantity に対する rdfs:label を使う。

詳細要素とプロパティ
rdfs:label - 員数
rdf:value - 数値

計測値

詳細記述はクラス mo:Measurement とプロパティ mo:hasMeasurement で表現する。

measurement

詳細要素とプロパティ
mo:extent - 部位
mo:dimension - 次元
rdf:value - 数値
mo:unit - 単位

一方、簡易記述は詳細記述とは独立したプロパティ mo:hasMeasurementSimple で表現する。

measurement_simple

詳細記述と簡易記述を併用してもよい。以下に併用した場合の XML 表現の例を示す。

<mo:MuseumObject rdf:about="tag:example.jp,2006:object/12">
  <mo:hasMeasurement>
    <mo:extent>本紙</mo:extent>
    <mo:dimension>縦</mo:dimension>
    <rdf:value>205</rdf:value>
    <mo:unit>cm</mo:unit>
  </mo:hasMeasurement>
  <mo:hasMeasurement>
    <mo:extent>本紙</mo:extent>
    <mo:dimension>横</mo:dimension>
    <rdf:value>132</rdf:value>
    <mo:unit>cm</mo:unit>
  </mo:hasMeasurement>
  <mo:hasMeasurementSimple>本紙205×132(cm)</mo:hasMeasurementSimple>
</mo:MuseumObject>

保存状態

クラス mo:Condition とプロパティ mo:hasCondition で表現する。

condition

簡易記述は mo:Condition に対する mo:hasConditionDescription を使う。

詳細要素とプロパティ
mo:hasType - 保存状態
mo:hasConditionDescription - 状態記述
mo:hasDate - 日付

印章・銘記

クラス mo:Inscription とプロパティ mo:hasInscription で表現する。

inscription

簡易記述は mo:Inscription に対する rdfs:value を使う。

詳細要素とプロパティ
rdf:value - 印章・銘記
mo:hasType - 印章・銘記タイプ
mo:hasInscriptionLocation - 位置

部分

クラス mo:Part とプロパティ mo:hasPart および mo:formsPartOf で表現する。

part

mo:hasPartmo:formsPartOf はそれぞれ互いの逆プロパティである。 また mo:Partmo:MuseumObject のサブクラスである。 部分が独立した記述単位となっている場合には識別子をもち、したがって URI で識別される (詳細要素「参照識別子」に相当する)。

簡易記述は mo:Part に対する mo:hasPartName を使う。

詳細要素とプロパティ
mo:hasPartName - 部分名称
mo:hasPartDescription - 部分記述

部分が独立した記述単位となっている場合、その部分についての RDF ファイルの場所を rdfs:seeAlso を使って示すこともできる。以下に XML 表現の例を示す。

<mo:MuseumObject rdf:about="tag:example.jp,2006:object/12">
  <mo:hasPart>
    <mo:Part rdf:about="tag:example.jp,2006:object/18">
      <mo:hasPartName>光背</mo:hasPartName>
      <mo:hasPartDescription>銅製 高60cm</mo:hasPartDescription>
      <rdfs:seeAlso rdf:resource="http://example.jp/object/18.rdf"/>
    </mo:Part>
  </mo:hasPart>
</mo:MuseumObject>

付属品

クラス mo:Attachment とプロパティ mo:hasAttachment および mo:isAttachmentOf で表現する。

attachment

mo:hasAttachmentmo:isAttachmentOf はそれぞれ互いの逆プロパティである。 また mo:Attachmentmo:Part のサブクラスである。 付属品が独立した記述単位となっている場合には識別子をもち、したがって URI で識別される (詳細要素の「参照識別子」に相当する)。

簡易記述は mo:Attachment に対する mo:hasAttachmentName を使う。

詳細要素とプロパティ
mo:hasAttachmentName - 付属品名称
mo:hasAttachmentDescription - 付属品記述

付属品が独立した記述単位となっている場合、その付属品についての RDF ファイルの場所を rdfs:seeAlso を使って示すこともできる。

制作と役割

制作はクラス mo:Creation とプロパティ mo:wasCreatedBy で表現する。 役割はクラス mo:ActorRelation とプロパティ mo:hadParticipant で表現する。 役割は型であるが、制作ととも利用されるためここでは併せて例示する。

creation

図では資料が mo:Creation のインスタンスである匿名リソースで表される制作というイベントによって制作されたことが示される。 この mo:Creationmo:Event のサブクラスである。 またこの制作の関係者は mo:hadParticipant によって 行為者と制作の関係を表す型である役割として、すなわち mo:ActorRelation として示される。 mo:ActorRelationmo:hasRole などの関係の性質を表すプロパティとともに、 mo:hasActor によって行為者を表すクラス mo:Actor のインスタンスと関連付けられる。 したがって、図は tag:example.jp,2006:actor/24 で表される行為者が、この作品の図案を作成したと伝えられていることを表している。

制作には簡易記述はない。次に制作の詳細要素と対応するプロパティを示す。

詳細要素とプロパティ
mo:hadContext - 制作事情
mo:hadParticipant - 関係者
mo:hasPeriod - 時期
mo:tookPlaceAt - 場所
mo:isDocumentedIn - 文書

mo:hadParticipant の値は、制作と行為者の関連を表現するクラス mo:ActorRelation のインスタンスとなる。 次にこのクラスで表される役割の詳細要素と対応するプロパティを示す。

詳細要素とプロパティ
mo:hasRole - 役割
mo:hasAttribution - 帰属
rdfs:label - 表示文字列
mo:hasActor - 行為者

出土・発見

クラス mo:Excavation とプロパティ mo:wasExcavatedBy で表現する。

excavation

mo:Excavationmo:Event のサブクラスである。 図では mo:tookPlaceAt の値が mo:Place のインスタンスだが、 遺跡であれば mo:ArchaeologicalSite がより適切であろう。簡易記述はない。

詳細要素とプロパティ
mo:hadContext - 収集事情
mo:carriedOutBy - 収集者
mo:hasPeriod - 時期
mo:tookPlaceAt - 場所
mo:isDocumentedIn - 文書

来歴

クラス mo:Provenance とプロパティ mo:hasProvenance で表現する。

provenance

mo:Provenancemo:Event のサブクラスである。簡易記述は mo:Provenance に対する mo:hadContext を使う。

詳細要素とプロパティ
mo:hasType - 来歴タイプ
mo:hadContext - 事由
mo:carriedOutBy - 関係者
mo:hasPeriod - 時期
mo:tookPlaceAt - 場所
mo:isDocumentedIn - 文書

取得

クラス mo:Acquisition とプロパティ mo:wasAcquiredBy で表現する。

acquisition

mo:Acquisitionmo:Event のサブクラスである。簡易記述はない。

詳細要素とプロパティ
mo:hasType - 取得方法
mo:transferredTitleFrom - 取得元
mo:hadCost - 価格
mo:hadCurrency - 通貨
mo:hasDate - 日付
mo:isDocumentedIn - 文書

移管・処分

クラス mo:Deaccession とプロパティ mo:wasDeaccessedBy で表現する。

deaccession

mo:Deaccessionmo:Event のサブクラスである。簡易記述はない。

詳細要素とプロパティ
mo:hasType - 移管・処分方法
mo:transferredTitleTo - 移転先
mo:hasDate - 日付
mo:isDocumentedIn - 文書

受入

クラス mo:Entry とプロパティ mo:wasEnteredBy で表現する。

entry

mo:Entrymo:Event のサブクラスである。簡易記述はない。

詳細要素とプロパティ
mo:hasType - 受入方法
mo:hadContext - 受入理由
mo:wasDepositedBy - 貸出・寄託元
mo:hasDepositorsNumber - 貸出・寄託元番号
mo:hadDateRange - 期間
mo:isDocumentedIn - 文書

調査、修復

調査はクラス mo:Inquiry とプロパティ mo:wasInquiredBy で表現する。 修復はクラス mo:Conservation とプロパティ mo:wasConservedBy で表現する。 図は調査の例である。修復もほぼ同様のグラフとなる。

inquiry

mo:Inquiry および mo:Conservation はともに mo:Event のサブクラスである。

調査の簡易記述はない。次に調査の詳細要素とプロパティの対応を示す。

詳細要素とプロパティ
mo:hadContext - 調査事由
mo:carriedOutBy - 調査者
mo:hadDateRange - 期間
mo:isDocumentedIn - 文書

修復の簡易記述は mo:Conservation に対する mo:hadContext を使う。 次に修復の詳細要素とプロパティの対応を示す。

詳細要素とプロパティ
mo:hadContext - 修復事由
mo:carriedOutBy - 修復者
mo:hadDateRange - 期間
mo:isDocumentedIn - 文書

展示

ある資料の展示はクラス mo:Display とプロパティ mo:wasDisplayedIn で表現し、 その展示が行われた展覧会はクラス mo:Exhibition とプロパティ mo:wasExhibitedIn で表現する。

display

mo:Displaymo:Exhibition はともに mo:Event のサブクラスである。簡易記述はない。

mo:Display で表される展示は個々の資料の展示であり、mo:Exhibition で表される展覧会では通常複数の資料の展示から構成される。たとえば個々の資料の展示期間は、展示替えなどにより展覧会の期間と一致しないことがある。

詳細要素とプロパティ
mo:hasExhibitionTitle - 展覧会名
mo:Exhibition の mo:hasDateRange - 開催期間
mo:Display の mo:hasDateRange - 展示期間
mo:hasVenue - 会場
mo:isDocumentedIn - 文書

所在

クラス mo:Location とプロパティ mo:hasLocation およびそのサブプロパティ mo:hasCurrentLocationmo:hasNormalLocation で表現する。

location

mo:Locationmo:Event のサブクラスである。簡易記述はない。

所在は時間を通じて変化するものである。それぞれの期間における所在は mo:hasLocation プロパティによって示される mo:Location となり、mo:hadDateRange によって期間が表される。変化してゆく所在のうち、特に現在の所在を表現するために mo:hasCurrentLocation を、また通常資料に割り当てられている収蔵場所を表現するために mo:hasNormalLocation を使うことができる。それぞれの所在の名前を表すためには mo:hasLocationName を使う。

詳細要素とプロパティ
mo:hasType - 所在タイプ
mo:hasNormalLocation - 収蔵場所
mo:hasCurrentLocation - 現所在
mo:onLoanTo - 貸出先
mo:hadDateRange - 期間

価格評価

クラス mo:Valuation とプロパティ mo:wasValuatedBy で表現する。

valuation

mo:Valuationmo:Event のサブクラスである。簡易記述はない。

詳細要素とプロパティ
mo:hadContext - 評価事由
mo:hadCost - 評価額
mo:hadCurrency - 通貨
mo:carriedOutBy - 評価者
mo:hasDate - 日付

受賞・指定

クラス mo:Designation とプロパティ mo:wasDesignatedBy で表現する。

designation

mo:Designationmo:Event のサブクラスである。簡易記述はない。

詳細要素とプロパティ
mo:hasType - 受賞・指定タイプ
mo:hasDesignationNumber - 番号
mo:hasDate - 日付

権利

クラス mo:Right とプロパティ mo:isSubjectTo で表現する。

right

簡易記述は mo:Right に対する mo:hasRemark を使う。

詳細要素とプロパティ
mo:hasType - 権利タイプ
mo:isPossessedBy - 権利保持者
mo:hasLimitDate - 期限
mo:hasRemark - 注記

関連資料

資料間の関連を表すクラス mo:ObjectRelation とプロパティ mo:hasObjetRelation および mo:isRelatedTo で表現する。

object_relation

関連元の資料から mo:hasObjectRelation プロパティによって mo:ObjectRelation のインスタンスを示し、 そこから mo:isRelatedTo によって関連する資料を示す。

簡易記述は mo:ObjectRelation に対する mo:hasRemark を使う。 詳細要素を使う場合でも関連先となる資料の URI が不明であれば mo:isRelatedTo を省略してもよい (詳細要素「識別子」は任意であるため)。

詳細要素とプロパティ
mo:hasType - 関連タイプ
mo:hasRemark - 注記

また、関連先の資料についての RDF ファイルの場所を示すために rdfs:seeAlso を使うこともできる。 以下に XML 表現の例を示す。

<mo:MuseumObject rdf:about="tag:example.jp,2006:object/12">
  <mo:hasObjectRelation>
    <mo:ObjectRelation>
      <mo:hasType>摸刻</mo:hasType>
      <mo:hasRemark>教育用の摸刻</mo:hasRemark>
      <mo:isRelatedTo>
        <mo:MuseumObject rdf:about="tag:example.jp,2006:object/201">
          <rdfs:seeAlso rdf:resource="http://example.jp/object/201.rdf"/>
        </mo:MuseumObject>
      </mo:isRelatedTo>
    </mo:ObjectRelation>
  </mo:hasObjectRelation>
</mo:MuseumObject>

文献

文書との関連を表すクラス mo:Reference とプロパティ mo:hasReference で表現する。

reference

簡易記述は mo:hasReferenceDocument によって示される mo:Document のインスタンスを簡易記述で表現する。

詳細要素とプロパティ
mo:hasReferenceDocument - 書誌
mo:hasType - 文献タイプ
mo:hasReferenceNumber - 番号等
mo:hasRemark - 注記

画像

クラス mo:Image とプロパティ mo:isDepictedIn で表現する。

image

詳細記述では画像は識別子をもつため、URI によって識別できるリソースとなる。 また mo:depictsmo:isDepictedIn の逆プロパティであるので、 これによって画像を起点として資料の情報を指すこともできる。

簡易記述は mo:Image に対する rdfs:label を使う。

詳細要素とプロパティ
mo:hasType - 画像タイプ
mo:hasImageCreator - 作成者
mo:hasTakenDate - 作成日
mo:hasCopyrightRemark - 著作権
mo:hasRemark - 注記

http 経由でアクセス可能な画像など、すでに URI が与えられている画像であれば、その URI を使うこともできる。 また画像についての RDF ファイルが別途用意されていれば rdfs:seeAlso で示すこともできる。 以下に XML 表現の例を示す。

<mo:MuseumObject>
  <mo:isDepictedIn>
    <mo:Image rdf:about="http://example.jp/images/a00923.jpg">
      <rdfs:seeAlso rdf:resource="http://example.jp/images/metadata/a00923.rdf"/>
    </mo:Image>
  </mo:isDepictedIn>
</mo:MuseumObject>

記述ノート

クラス mo:DescriptiveNote とプロパティ mo:hasDescriptiveNote で表現する。

descriptive_note

簡易記述はない。

詳細要素とプロパティ
mo:hasType - 記述ノート・タイプ
rdf:value - 記述ノート
mo:hasNoteCreator - 作成者
mo:hasDate - 日付
mo:hasCitationSource - 引用

記述作成

クラス mo:Record とプロパティ mo:hasRecord で表現する。

record

mo:hasRecordSource は元データとなったリソースを指す。

簡易記述はない。

詳細要素とプロパティ
mo:hasRecordCreator - 作成・更新者
mo:hasDate - 日付
mo:hasRecordSource - 源泉記述識別子
mo:hasRemark - 注記

型の RDF 表現

役割については、属性の「制作」を参照のこと。

期間

クラス mo:DateRange で表現する。

date_range

詳細要素とプロパティ
mo:starts - 開始日
mo:ends - 終了日

時期

mo:DateRange のサブクラス mo:Period で表現する。

period

詳細要素とプロパティ
mo:starts - 開始日
mo:ends - 終了日
rdfs:label - 表示文字列

行為者、個人、グループ

個人はクラス mo:Actor のサブクラス mo:Person で表現する。

person

グループはクラス mo:Actor のサブクラス mo:Group で表現する。

group

個人、グループはいずれも識別子をもち、したがって URI で識別されるリソースとなる。 いずれの場合も主たる名前を mo:hasPreferredName で示し、 複数の名前がある場合には mo:hasName によってその他の名前を示す。

簡易記述は mo:hasPreferredName を使う。

詳細要素とプロパティ
mo:hasPreferredName および mo:hasName - 名前
mo:hasPeriod - 時期
mo:hasActorPlace - 場所
mo:hasContactPoint - 連絡先
mo:hasMember - メンバー
mo:hasRemark - 注記

文書

クラス mo:Document で表現する。

document

簡易記述は rdfs:label を使う。

詳細要素とプロパティ
mo:hasDocumentNumber - 参照記号
rdfs:label - 書誌的記述
mo:hasRemark - 注記

文書に URI が与えられていれば、その URI によって表されるリソースとすることもできる。 文書の URI は http スキームや urn:isbn などで与えられているものがありうる。 以下に XML 表現による例を示す。

<mo:Document rdf:about="urn:isbn:0123456789"/>
<mo:Document rdf:about="http://webarchives.tnm.jp/docs/informatics/smmoi/">
  <rdfs:label>ミュージアム資料情報構造化モデル</rdfs:label>
</Document>

地域、遺跡

地域はクラス mo:Place で表現する。

place

遺跡はクラス mo:Place のサブクラス mo:ArchaeologicalSite で表現する。

archaeological_site

地域の簡易記述は mo:hasPlaceName を使い、遺跡の簡易記述は mo:hasSiteName を使う。

詳細要素とプロパティ
mo:hasPlaceName - 地名
mo:hasHistoricalName - 旧地名
mo:hasLatitude - 緯度
mo:hasLongitude - 経度
mo:hasSiteName - 遺跡名
mo:hasSiteReference - 参考文献

参考文献

[SMMOI]
東京国立博物館 博物館情報処理に関する調査研究プロジェクトチーム, ミュージアム資料情報構造化モデル, 2005-12-16
<http://webarchives.tnm.jp/docs/informatics/smmoi/>
[SMMOI-RDF]
東京国立博物館 博物館情報処理に関する調査研究プロジェクトチーム, ミュージアム資料情報 RDF ボキャブラリ
<http://webarchives.tnm.jp/docs/informatics/smmoi-rdf/>
[RDF-C]
Graham Klyne and Jeremy J. Carroll eds., Resource Description Framework (RDF): Concepts and Abstract Syntax, 2004-02-10, W3C Recommendation
<http://www.w3.org/TR/rdf-concepts/>
[RDF-PRIMER]
Frank Manola and Eric Mille eds., RDF Primer, 2004-02-10, W3C Recommendation
<http://www.w3.org/TR/rdf-primer/>
[RDF/XML]
Dave Beckett ed., RDF/XML Syntax Specification (Revised), 2004-02-10, W3C Recommendation
<http://www.w3.org/TR/rdf-syntax-grammar/>
[NOTE-datetime]
Misha Wolf and Charles Wicksteed, Date and Time Formats, 1998-08-27, W3C Note
<http://www.w3.org/TR/NOTE-datetime>
[RFC4151]
T. Kindberg and S. Hawke, The 'tag' URI Scheme, 2005-10, RFC-4151
<http://www.rfc-editor.org/rfc/rfc4151.txt>