更新日 : 2022/06/13
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「大小」は、旧暦において、毎年大小月が変化することを用い、当該年の月の大小情報を含んだ配り物をさまざまな趣向や発想により制作したものです。江戸時代の大小交換会により、鈴木春信などが関与し、浮世絵版画の技術向上、特に多色摺が発達したことは、多方面の研究で明らかになされています。『大小暦類聚』は、まさにその交換会が盛んに行われるようになった明和二年をはじめとして、明和〜安永〜天明〜寛政(享和四まで)と、大小の黄金時代ともいれる時期にあたり、年末年始に盛んに交換された頃の作品群が収められています。当時浮世絵版画を含め出版は幕府の統制下にあり、さまざまな禁令が存在していました。しかし、販売を目的とせず、配布交換などの出版物は統制には含まれず、交換目的であった大小は比較的自由に制作可能でした。依頼者の考え方や趣味趣向、美意識、教養・造詣などが作品に自由に表現され作られていきました。大小は恣意的内容が多いとよくいわれるのは、そのためです。反面、その内容は流通商品よりはるかに多岐にわたり、単に浮世絵研究にとどまらず、江戸時代の歴史、風俗、文芸などの情報はもちろんのこと、市井データの宝庫といえるものです。本データベースは、多方面の研究分野の貴重な情報源となりえましょう。 本データベースは、日本学術振興会平成28年度~30年度科学研究費補助金(基盤研究(B))「大小摺物(絵暦)の美術史及び文化史に関する総合的研究」(課題番号16H03378)の成果の一部として公開するものです。