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研究概要・目的

博物館の使命は文化財を未来に継承する恒久的な保存、そして持続的な公開である。 文化財の安全を高度な判断と技術で守ることを臨床保存と言う。臨床保存の観点から文化財の保存と公開を適切なバランスで実践し、全体を見通した保全に当たることを文化財の包括的保存と言い、 その具体的な方法論を包括的保存システム(プライマリ・ケア・システム)と言う。従来、国内外における研究の中心は、材質や年代等の科学分析、 修理技術や材料の評価・開発など、個別的・基礎的な分野に偏り、保存と公開を前提とした臨床科学的観点からの包括的保存方法論の研究はなされていない。 そのため博物館には文化財を脅かすさまざまな高いリスクが存在する。

 

保存と公開という博物館の使命を持続的なものとするためには、あらゆるリスクを予測し、リスクを回避するための対策を事前に講じることによって、 高い安全性に裏付けられた活動へと博物館活動を質的に転換する必要がある。そのためには、従来行われてきた基礎研究及び個別的対処を統合し、 機動的かつ実効的な臨床保存学を確立する必要がある。その具体的な空間が博物館であり、 その方法論としての包括的保存システム構築が急務である。包括的保存システムの原理の確立と具体化が本研究の目的である。

 

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